出会いは未来屋書店の「ヨンデミーレベル」フェアから
夏休み中、ふらっと立ち寄った未来屋書店で見つけたのが「ヨンデミーレベル」という本の指標。本の帯に「ヨンデミーレベル」が書かれていて学年に合った本が分かりやすく紹介されています。
これを見ると、なるほど、本の難易度が一目瞭然になっています。「これはいい!」日頃から、娘を本好きに育てたいと願っているのに、かといって娘が具体的に本にかかわるのはせいぜい図書の時間くらい?
娘が本を好きになるように…と願いながら、具体的な支援をしているとは言えない私なのです。なぜなら、本選ぶの難しすぎるから。
一体どんな本を与えれば本好きになるというのだ…。そもそも、どのレベルの本なら、娘は自力で読みきることができるんだ。それすら分かりません。
本の難易度も、選び方も、そして娘の読書力も、何一つわからないけど、ふらっと本屋に立ち寄って、ふらっと店内を歩き始め、たまたま出会ったのが「ヨンデミーレベル」と言う指標でした。
ヨンデミーレベルが同じ本を何冊かパラパラめくってみたら、どれも読みやすそうで、これはいいなと思いました。絵本や児童書をヨンデミーレベルという共通の基準で把握できるのがとても便利です。
とりあえず、この指標で本を選べば、本の戦闘力は測れるぞ!と一筋の希望がキラリ。
この時点で、娘の読書戦闘力は未知でしたが、相手の戦闘力は分かっているので、これが読めたら娘の読書力は低く見積もってもヨンデミーレベル17だ!と相対的に推し測ることができそうです。
「これにする」「このレベルなら娘でも読めそう!」と2人の直感で手に取ったのが、今回ご紹介する『うどんねこ』です。

結論を先に言うと、娘がこの本をとても気に入って、小1のクラスメイトにおすすめするほどのお気に入りの一冊になりました。
無理なく読めることで、読書への自信や楽しさがぐっと高まったように思います。
「この本…難しくて読めない(..)」という読破できない挫折が続くと、本嫌いになるのでは?という恐れがあったので、慎重に選書していましたが、ヨンデミーレベルを見れば一発で解決したので、この手軽さは発明&時短ですね。
本の戦闘力を知り、読み手の読書力に合った本を選ぶのが大事だと痛感しました。
- 出会いは未来屋書店の「ヨンデミーレベル」フェアから
- 『うどんねこ』作・絵スケラッコの紹介
- 娘が夢中になった理由
- 個性的な三人トリオ
- 顔芸と大きなコマで分かりやすい笑いどころ
- 細かな仕掛けで飽きない
- 母として一番心に残ったシーン
- 読んで楽しく、心も温まる一冊
『うどんねこ』作・絵スケラッコの紹介

まずは、うどんねこ紹介文です。
うどんの生地をこねこ…ねこねこしていると、う・どーん!とねこが生まれた!! もっちりボディに、麺のように伸びるしっぽ。ころころ変わるファニーフェイス! 自由気ままなうどんねこが、閉店危機のうどん屋さんを救う!? とにかくかわいくて笑える! 絵さがし&間違いさがしも充実で、子ども大人も夢中になること間違いナシ。革メン的なキャラクター読み物、誕生です!!
娘が夢中になった理由
- 漫画のような大きなコマわり
- 児童書のいいとこ取り
- コマは上から下、左から右へ自然に目が進む
- 漫画を読んだことのない娘も迷わない
- ナレーター+3人のキャラが中心で話がスムーズ
- うどんねこ、そばねこのキャラの良さ
- テンポがよく、展開が面白い
『うどんねこ』は、児童書と漫画のちょうど間くらいの内容です。
上から下へ、左から右へと進むコマ割りが直感的で、漫画を読んだことのなかった小1の娘でもすぐに理解できました。
お話は、ナーレター(語り手)と、うどん屋の店主ボンタンくん、そしてうどんねこ・そばねこの3人(匹?)を中心に進んでいきます。登場人物のキャラがしっかり立っているので、似たようなキャラに混乱せずに読み進められるのもいいところです。
長女のうちの娘は、面倒見が良い性格なのですが、だからこそ、マイペースでトラブルメーカーな「うどんねこ」にツボったようです。みんなを振り回す行動が面白く映るみたいです。夏休み中、何度も何度も読み返していたのが印象的でした。
個性的な三人トリオ

うどんねこ:ベタなトラブルメーカー。無鉄砲で無邪気、自由奔放。表情も豊かで、見ていて飽きない。カレーうどんを運びながら匂いにつられてペロッと味見してみたり、大きな海老天を見て「一本ください」と言ってみたり、とにかくピュア100%の行動で周囲を振り回します。

ボタンくん:そんなうどんねこを止めることなく見守るうどん屋の店主。表面的にはドタバタに巻き込まれているようでいて、出自ゆえの余裕か、うどんねこの暴走にこりごりする様子はなく、むしろ受け止めている感じ。

そばねこ:スパイスの効いた性格で、うどんねことは正反対。キレイ好きでお店をピカピカにするし、調理もきっちりきっかり。うどんねことそばねこが並んでまんじゅうを作るシーンでは、粉を飛び散らせてべちゃべちゃにするうどんねこと、計量スプーンすりきりで調味料を測るそばねこの対照が笑いを誘います。
三者三様のキャラが際立っているからこそ、読んでいて混乱することなく、掛け合いそのものを楽しめるんです。娘も私も思わずクスクス笑ってしまいます。

ちなみに、ボタンくんは「かなぼううどん」というお店の店主です。なぜ「かなぼううどん」なのか。実はこれはボタンくんの正体に関わっていて、ある有名なことわざを知っていればすぐにピンとくるんです。
でも、小1の娘はまだそのことわざを知りません。だから「どうしてこの店名なんだろう?」と考えることもなく、純粋に物語を楽しんでいます。
でもきっと来年か再来年、国語で「鬼に金棒」ということわざを学んだときに「あっ!うどんねこの『かなぼううどん』だ!」とピンとひらめく瞬間がくるはず。
そう思うと、母としては今からその伏線回収が楽しみで仕方ありません。
顔芸と大きなコマで分かりやすい笑いどころ
うちの娘が特にお気に入りなのは、うどんねこの顔芸。
驚き、嫉妬、喜び…どれも大げさで笑えます。得にうどんねこがアンハッピーなときの躍動感がすごいです。まるで読者に「こんなにひどいこと起きてるんですー!」とアピールしてるようです。オーバーリアクションで感情が分かりやすいし、コミカルでいい表情をしてくれるんです。
しかも笑えるシーンは、コマが大きめに描かれているのが親切です。子どもでも「ここが笑いどころ!」と直感的に分かります。
娘は毎回同じページで「うどんねこの顔、ヤバい!ww」とケラケラ笑い転げていて、そのたびにその笑い声でこちらまでつられて笑ってしまいます。
細かな仕掛けで飽きない
『うどんねこ』は、物語としても面白いし、キャラクターの掛け合いも面白いのですが、さらに、そこに加えて、「間違い探し」的な要素や細かな仕掛けが散りばめられていて、飽きずに楽しめる内容になっています。
たとえば、店内の迷い鳥ポスターが貼ってあるのですが、その迷い鳥らしき子が他ページに登場していたり、
絵探しや小ネタが散りばめられているので飽きずに読み進められるんです。
笑えるページを繰り返し見たり、絵をじっくり楽しんで娘と読むと、1冊で1時間くらい夢中になれます。
夏休み中、5回以上読み返しており、続編②③もリクエストされています(③が最新刊です。)
フルカラーで1,400円、安い。十分に元が取れる満足感です。フルカラーですよ。この読みごたえなら本当に安い!と思えるシリーズです。
母として一番心に残ったシーン
冒頭、ボタンくんが厨房に立ちこう考える場面。
「悩んでいてもお腹はすきます。自分のために美味しいうどんを作ろう」
私はこのシーンで、ぐっと引き込まれました。
ボタンくんは、自分のある特性が原因で、商売がうまく行かず悩んでいます。ボタンくんの作るうどんはとっても美味しいのに、残念なことにお店が繁盛しないんですよね。それゆえに、悩んでいるときのシーンなのですが、ボタンくんが元気を出す方法が、自分のためにうどんを作る、なんです。
悩んでいるとき、自暴自棄になると、自分を大切にできないときもありますよね。でもボタンくんはまず自分を大切にして行動してるなとホロリ。本当はお客さんに食べてほしいけど、そんな気持ちを隠して自分に丁寧に美味しいものを作る。その健気さにまたホロリ。
このシーンを読みながら私は思いました。
将来、もし娘が悩んでいるときに、この本を思い出してほしい。
「自分を大事にしていいんだよ。元気が出ないときは、自分に時間をかけてあげてね。自分を諦めないでね。辛いときは、一緒に温かいご飯を食べようね」
そう伝えてあげたいと強く感じたのです。ボタンくんの人間味溢れる(人間じゃないんだけれども)シーンに完全に心を掴まれました。
読んで楽しく、心も温まる一冊
『うどんねこ』は、
- 読みやすい構成
- 個性豊かなキャラクター
- 細やかな仕掛け
- 親の心に響くメッセージ
が絶妙にミックスされています。
夏休みに出会えて本当によかった!低学年にオススメの一冊です。
