
私は2人の子を無痛分娩で出産しました。
出産にまつわるエピソードのなかで、意外にも周りにはお仲間の少ない『無痛分娩』の経験談。
妊娠中の知人から「無痛分娩、実際どうだった?」と聞かれたときに「1人目は無痛とは言えなかったかも…?」といつも答えています。
思い返してみれば、1人目は「無痛なのに痛い」出産、2人目は「本当に無痛」の出産でした。
麻酔の効きが違った2回の無痛分娩を経験をしてみて、無痛分娩と一言で言ってもこんなに差があるのか!と実感しましたので無痛分娩した経験をシェアします。
一人目の出産体験(半分くらい自然分娩の痛みあり)
1人目の無痛分娩は、無痛分娩と言いつつ、半分くらい自然分娩の痛みを味わいました。
1. 陣痛スタート
出産予定日の前に、おしるしが出たので緊急外来でかかりつけ医に受診。
おしるしとは、出産前に少量の出血があって出産が近いサインと言われます。
おしるしがきたということは「いつ陣痛がきてもおかしくない」という主治医の判断で、その日のうちに計画出産日が決まり、陣痛は院内で迎えることになります。
麻酔処置のため、無痛分娩希望者は自然な陣痛を待つのではなく計画分娩をします。
当日朝、促進剤を打って陣痛を促します。さらに、バルーンという器具を入れて子宮口を器具の力を借りて広げていきました。
2. 陣痛中の感覚
陣痛の波がきたときは、腰が砕けそうな痛みが数分ごとに押し寄せます。でも、無痛分娩のすごいところは陣痛の痛みが耐えられなければ、その段階から麻酔を入れてもらえること。
私の場合、痛みレベルを10段階で聞かれて、6〜7と答えた時点で麻酔を始めました。そのため、私はマックスの陣痛の痛みを体験していません。
3. 出産の瞬間
分娩にかかった所要時間は3時間ほど、初産にしてはかなり順調で早かったと思います。
でも、思い返してみれば、無痛分娩と言いつつも、けっこう痛かったな…と記憶しています。
理由は二つ。まず、麻酔の効きが良くなかったこと。
初産で、かつ硬膜外麻酔は初めてのため、かなり少量から刻んで刻んで麻酔を投下していました。麻酔が効いたと思っても、その次の陣痛がさらに痛くて、麻酔を足しても足しても、陣痛が追いかけてくる状態。
二つ目の理由は、横向きで陣痛を耐えていたため血流が悪くなり、右半身だけ麻酔の効きが悪いというアンバランスな状態になったこと。下半身の右半分だけは感覚が残っていたので「無痛分娩と聞いていたのに、すごく痛いじゃん!」というのが正直な感想でした。
4. 振り返り
当時は「無痛って聞いてたのに全然違う」という感想でしたが、とはいえ、無痛分娩の良さは「分娩後」に実感しました。
産後ダメージの回復が早く、産後4ヶ月というスピードで職場復帰できたのは無痛分娩のおかげだったと思います。
麻酔の作用で、最大の分娩の痛みをくらうことはなかったので、精神的にも楽でしたし、本当に痛くないの?と半信半疑でしたが、産後の体力戻りが良かったので2人目も同じ産院で無痛を選びました。
二人目出産体験(ほぼ無痛分娩)
1. 計画・選んだ理由
1人目の出産後の体力戻りがよく、痛みも多少緩和された出産だったので「次も絶対に無痛にしよう」と当然決めていました。
結果的に、2人目の方が麻酔の効きがよく、ほぼ無痛に近い出産でした。でも、出産後1人目とは違う激痛の落とし穴が待ち受けていたのです。(後述します。)
2. 入院〜麻酔処置
1人目のときと流れは同じで、麻酔の説明や同意書サインは事前に分娩予約時に済ませていました。
背中への麻酔は冷たい感覚が流れ込むようで、怖さもありました。
ただ効き始めると腰から下がじわじわ無感覚に。脚は助産師さんに持ち上げてもらわないと動かせません。まるで宇宙服を着ているみたいでした。
3. 出産中の感覚
これが本当の無痛!と思うほど楽。完全に一人目とは違い、まさに無痛分娩でした。痛みレベルは、重い生理痛くらい。どちらかというと、麻酔を入れる前の陣痛の痛みの方がキツかったです。
モニターで確認しながら、助産師さんに「今、陣痛きてます」と言われても「え?本当に?」と感じるくらい他人事のようでした。
圧はあるけれど痛みはなく、冷静に会話する余裕さえありました。BGMのハワイアン音楽に癒されながら、気づけば赤ちゃん誕生。
麻酔が効いた理由は、1人目出産時のデータをもとに麻酔の投与量を調整してくれたことと、自分なりに血流を意識して姿勢やマッサージをするなど工夫して挑んだからでした。
「これなら前回よりも余裕で回復できる!」と感じた幸せな分娩でしたが、しかし、これは後に大誤算に変わります。
4. 後陣痛でのたうちまわる
体力が残っていて、赤ちゃんも元気に産まれて、すごく幸せな気持ちに包まれて、爽快感までありました。
「もう文句なし!大成功!」と思い、ぐっすり眠れそう!とリラックス気分でしたが、数時間後、後陣痛が猛烈に襲ってきました。
会陰切開の痛みも加わり、まるで下半身をグサグサと刺され続けているよう。ベッドでのたうち回り、震えが止まらずナースコールで助けを求めました。
そもそも後陣痛は、一人目より二人目、二人目より三人目の方が痛くて当たり前だそうです。
二人目以降の後陣痛が強いとは知らず、完全に油断して浮かれていました。
後陣痛の痛みでじっとしてられず、脂汗が吹き出します。この痛みはもはや陣痛を超えてるんじゃないか?とまで思いました。
数時間前までは、医師や助産師さん囲まれて、赤ちゃんも産まれて、あんなに幸せな高揚感だったのに。
今は、病室に一人グサグサ貫かれるような下半身の痛みに悶える私。
痛みの臨界点突破で、痛み止めのロキソニンが効いてるのか効いてないのかわからないけど、薬のある安心感は大きかったです。
結果的に、無痛分娩で温存した体力を、体の回復のためではなく、後陣痛の痛みとの戦いで使い果たしました。
比較とメリット・デメリット
自然分娩と比較してみますと、費用面では、自然分娩は出産一時金範囲内で収まることが多いのに対して、私が出産した産院では、無痛分娩で、出産一時金全額とさらに持ち出し13万円かかりました。なかなかの大金。
ただし、痛みは、陣痛から分娩までの地獄のような痛みが麻酔が効いたら、重い生理痛レベルの痛みだけですみます。
心の余裕でいうと、私の場合、出産の痛みが恐怖過ぎて、失神レベルで頭真っ白だったのを、無痛分娩ということで赤ちゃんを迎える気持ちに集中させることができました。
さらに、嬉しいのが体の回復具合ですが、出産後には全体力を使い果たしてしばらく動けない自然分娩と比べると、出産直後でも起き上がれるくらいな無痛分娩はすごい効き目だと思いました。(ただし麻酔が着れた後は地獄)
まとめ

私の経験をまとめると「1人目は想像以上に大変で、2人目で初めて本当の無痛を経験できた」です。
麻酔は絶対に効くわけではないけれど、私にとっては安心して赤ちゃんを迎える方法だったし、効きが悪いのか?と思っていた1人目でさえ、痛みレベルを自然分娩の半分くらいに抑えることができた(ベテラン助産師さんがそう言っていた)ので、私には無痛分娩の料金以上の価値がありました。
出産の仕方には正解はなく、選択肢を知っておくことが大事だと思うし、もし娘が将来、無痛分娩を選んだら自分の経験を話します。無痛分娩を選ぶのなら後押ししたいと思いました。
最後までお読みいただきありがとうございました。